Appleは、iPhoneのバッテリー寿命について次のように公表しています。
バッテリーの耐用年数は、デバイスの使い方や、あなたがデバイスのために選ぶ設定によって異なります。
iPhoneのバッテリーは、フル充電サイクルを500回繰り返した時に、本来の容量の最大80パーセントを維持できるように設計されています。
一般的にリチウムイオン電池は、フル充電サイクルを500回で製造時の50%~70%程度に劣化します。iPhone各モデルにおいて、実際に使用できるバッテリー容量(有効容量と言います)が80%の場合と50%の場合を図表1にまとめました。使い方によりバッテリー劣化には驚くほど大きな差が出ることがわかります。
バッテリーの劣化を抑えるポイントを習慣化することで、なるべく有効容量を80%に近づけたいものです。そこで、今回は、iPhoneのバッテリー寿命を長持ちさせるポイントを紹介します。
モデル | 設計容量(mAh) | 有効容量が80%(mAh) | 有効容量が50%(mAh) |
iPhone5 | 1,430 | 1,144 | 715 |
iPhone5S | 1,560 | 1,248 | 780 |
iPhone5C | 1,500 | 1,200 | 750 |
iPhone6 | 1,810 | 1,448 | 905 |
iPhone6 Plus | 2,910 | 2,328 | 1,455 |
iPhone6S | 1,715 | 1,372 | 858 |
iPhone6S Plus | 2,759 | 2,207 | 1,380 |
iPhone SE | 1,624 | 1,299 | 812 |
図表1:iPhone各モデルの設計容量、有効容量80%および50%
1. フル充電サイクルと放電深度を知る
iPhoneに搭載されているリチウムイオン電池は充電と放電をくり返すことで劣化が少しづつ進みます。バッテリー寿命を長持ちさせる使用方法を習慣付けるには、「フル充電サイクル」と「放電深度」という聞きなれない用語を知る必要があります。それぞれわかりやすく説明します。
1-1. フル充電サイクルとは
冒頭のAppleの発表にもあったフル充電サイクルとは、バッテリーが100%から0%までを1サイクルとカウントする数え方で、くり返し充電と放電をくり返す二次電池に使われます。間違いやすいのが、1サイクルは充電器につないだ回数でも、100%までフル充電することでもないということです。
何回に分けても累積が100%から0%までが1サイクルです。図表2と図表3は同じ1サイクルです。
図表2:2回に分けて1サイクル放電
図表3:3回に分けて1サイクル放電
1-2. 放電深度とは
放電深度(D0D:Depth of Discharge) とは、バッテリーの容量に対する放電量の比で、バッテリー寿命に大きく影響する指標です。
例えば、フル充電100%のバッテリーを50%まで放電すると放電深度は50%となります(図表4)。バッテリー残量50%から0%まで放電しても放電深度は50%です(図表5)
図表4:バッテリー残量100%から50%まで放電
図表5:バッテリー残量50%から0%まで放電
1-3. 放電深度が深いほど、満充電に近いほど、高温なほど、バッテリーは劣化する
・放電深度が深いほどバッテリーは劣化する。
放電深度 | 充電サイクル数 |
100% DoD | 300~500回 |
50%D0D | 1,200~1,500回 |
25%D0D | 2,000~2,500回 |
10%D0D | 3,750~4,700回 |
(引用:Battery University)
図表6:設計容量が70%まで劣化するまでの充電サイクル
・同じ放電深度でも満充電に近いほどバッテリーは劣化する。
図表7:使用領域別のバッテリー劣化比較
・温度環境が高いほど、また放電深度が深いほどバッテリーは劣化する。
図表8:温度環境別のバッテリー劣化比較
(小形リチウムイオン電池の寿命特性 – NTTファシリティーズ総合研究所より作図)
・iPhoneのバッテリー充電は、高速充電とトリクル充電を組み合わせていている。
(引用:Apple)
図表9:Appleのバッテリー充電仕様
利便性のためにすばやく充電。耐用性のためにゆっくり充電。
Appleのリチウムイオンバッテリーは、バッテリー容量の80%までは高速充電し、その後、低速のトリクル充電に切り替わります。最初の80%に達するまでの時間は、設定方法と充電しているデバイスの種類によって異なります。この複合的な充電プロセスが、デバイスをより短時間で外に持ち出せるようにするだけでなく、バッテリーの耐用年数も延ばします。
1-4. バッテリー寿命を長持ちさせる4つのポイント
- 図表6が示すように、フル充電100%から0%まで使い切るとような使い方(放電深度100%)がバッテリーを最も劣化させます。放電深度が浅いほどバッテリー劣化は抑えられます。
- 図表7が示すように、同じ放電深度でもバッテリーは満充電に近いほど早く劣化します。しかし、モバイル機器であるiPhoneを満充電に近いバッテリー状態で使用するのは精神的に安心です。もちろん、50%-0%で日常的に使用するのは現実的ではありません。
- 図表8が示すように、温度環境が高いほど、また放電深度が深いほどバッテリーは劣化することがわかります。充電しながらiPhoneを使用することはバッテリーが高温になる原因です。特に満充電状態でACアダプターなどで充電しながらの使用は控えたほうがいいでしょう。
- 図表9が示すように、iPhoneのバッテリー充電は、高速充電とトリクル充電を組み合わせていて、80%までは高速充電となる仕様です。
1.〜4.を総合的に考慮して、iPhoneのバッテリー寿命を長持ちさせるポイントを4つにまとめます。
- バッテリーはフル充電100%にこだわらない。こまめな充電がバッテリーにやさしい。
- iPhoneの利便性とバッテリー寿命がバランスする80%~20%の範囲で使用する。
- 満充電状態で充電しながらの使用は控える。
- 「充電切れ対策」と「こまめな充電」のためにモバイルバッテリーの携帯は必須である。
2. まとめ
今回は、iPhoneのバッテリー寿命を長持ちさせるポイントを紹介しました。
この記事を読んだ方々が、バッテリー寿命をのばし、iPhoneをもっと楽しむことが出来るようになれば幸いです。
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